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鳥公園#14『「すがれる」2012/2017』(7/6~)

公演情報

2017.06.25


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 2012年に上演した小鳥公園#2「すがれる」では室生犀星著の老年男性と金魚との会話で構成された『蜜のあはれ』や、赤裸々に癌闘病を描いた『われはうたえどもやぶれかぶれ』を中心に、様々なテクストをコラージュし構成・上演。
 初演から5年が経過した本公演では2012年の大阪バージョン再演と、新バージョンの二本を同時上演します。

*  *  *

 83歳の祖母が「佳織ちゃん、認知症と物忘れってどう違っていると思う?」と何十回も聞いてくる。祖母は、自分が認知症であるとされることに強い抵抗感を持っている。それで私は、ああ、老いたことのある人っていないんだ! と気が付いた。年をとったら大なり小なりぼやけていって当たり前、というのは外からの、出来事を一般化した場合の考えで、老いていく一つひとつは祖母にとって新鮮でショッキングな初体験であるようだ。
 「すがれる」の初演をやった2012年の時点では、〈老い〉は自分の外にあるものだと思っていた。私は〈まだ老いていない者〉として、〈老い〉に興味を持っていた。でも5年経って自分の内の〈老い〉を感じるようになったら、ああ本当は5年前だって私は〈老いゆく者〉でもあったのだな、と思うようになった。そしてこの〈老い〉の置き位置の変化を、二本立ての上演として並べてみたいと思った。
 「すがれる」のテクストは、様々に違った質感を持つ文章を採集し、それらを野蛮に接ぎ合わせるというやり方で構成される。俳優たちはその文体から文体を、乗りこなしながら渡っていく。異質なもの同士が、違和感を塗りつぶすことをしないまま一つの場にある可能性を、劇にしたいと思っている。

作・演出 西尾佳織


作・演出:西尾佳織
出演:武井翔子、山崎皓司(FAIFAI)、八木光太郎(GERO)

【東京公演】
■日程・会場:
2017/7/6[木]~7/12[水] こまばアゴラ劇場

【京都公演】
■日程・会場:
2017/7/27[木]~7/30[日] アトリエ劇研
☆ポストパフォーマンストークゲスト
 27[木]19:30…… 砂連尾理さん(振付家/ダンサー)
 28[金]19:30…… 山口茜さん(劇作家/演出家)

■料金:東京・京都 共通
一般:3000円
25歳以下:2500円
高校生以下:500円(当日・前売一律)
当日:各500円増し

鳥公園

作・演出の西尾佳織が2007年7月に結成。「正しさ」から外れながらも確かに存在するものたちに、少しトボケた角度から、柔らかな光を当てようと試みている。モノの質感をそのままに手渡す言葉と美術、「存在してしまっていること」にどこまでも付き合おうとする演出が特徴。東京を拠点に活動しつつ、鳥取、北九州、広島、大阪、京都など、様々な土地での滞在制作も積極的に行っている。 ★公式サイトはこちら★