演劇最強論-ing

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iaku「ハイツブリが飛ぶのを」

公演情報

2017.10.14


デザイン:下元浩人


【アウトライン】
中型のチュウヒで、この地域の人たちが「ハイツブリ」と呼ぶ渡り鳥がいる。このハイツブリが越冬のために渡ってくる丘、渡ヶ丘(わたりがおか)。ここに40戸の仮設住宅が建ち並ぶ。海からそう遠くない場所で、比較的近くに活火山(Cランク)、渡岳(わたりだけ)がある。日本列島が火山の活動期に入り、全国各地で噴火が相次いでいるが、誰もあの山が噴火するとは思っていなかった。九州で破局的なカルデラ噴火が起きた後の世界。九州はほぼ壊滅状態となり、西日本で多大な被害が出ている。関連して、地震や水害などもあり、日本全体が混乱状態に陥っている。複合的な災害により、関西以東でも多くの地域が帰還困難となり、各地に応急仮設住宅が造られた。ここ、渡ヶ丘避難所もその一つである。中国地方・関西地方の都市部にも積もった火山灰が影響して、交通・流通は麻痺していたが、1年が経ち、少しずつ都市の機能が回復しつつある。それでも、自宅に戻れない者は多数いて、仮設住宅に腰を据えることを選ばなければならないケースも多数あった。渡ヶ丘避難所も、ほとんどの人が新たな暮らしを受け入れはじめようとしていた。そんな折、またしても火山の噴火によって生活が壊されてしまう。近くの火山、渡岳が噴火した。噴石や火山灰によって、ほとんどの人間がこの渡ヶ丘を去り、新たな避難先を求めた。

【イントロダクション】
降灰で白く霞んだこの地で一人、汽夏(きなつ)が夫(秋切・あきら)の帰りを待っている。
火山活動は落ち着いたが、風向きによっては灰が降る日も多く、汽夏の髪は白く汚れている。
多くの仮設住宅が渡岳噴火(噴石)により損壊していたが、汽夏は比較的被害の小さかった建家に移動した。
そして、かつてここに住んでいた住民たちが残していった備蓄を掻き集めて暮らしている。
やることは何もない。食糧も燃料も、次の冬を越すには少な過ぎる。
せめてもと、噴火の被害に遭い、放置されたままになっていた八人の遺体をポリバケツに入れ、
屈葬のようして土に埋めた。読経の代わりに思い出の歌をうたおうとしたが、思い出せない。
最近、いろいろなことが思い出せない。
次の冬まで汽夏の体は持つだろうか。秋切はいつ帰ってくるのだろうか。

作:横山拓也
演出:上田一軒
出演:阪本麻紀(烏丸ストロークロック)、緒方晋(The Stone Age)、平林之英(sunday)、佐藤和駿(ドキドキぼーいず) 

【東京公演】
■日程・会場:
2017/10/19[木]~24[火] こまばアゴラ劇場
■料金:
一般:前売 3,300円、当日 3,500円
U-22:前売・当日ともに2,000円
高校生:前売・当日ともに500円(枚数限定)
※U-22は22歳以下の方が対象です
※U-22、高校生以下の方は年齢の確認できるものを受付でご提示ください
※未就学児入場不可

【大阪公演】
■日程・会場:
2017/11/2[木]~6[月] ウイングフィールド
■料金:
一般:前売 3,300円、当日 3,500円
U-22:前売・当日ともに2,000円
高校生:前売・当日ともに500円(枚数限定)
※U-22は22歳以下の方が対象です
※U-22、高校生以下の方は年齢の確認できるものを受付でご提示ください
※未就学児入場不可

■上演時間:約95分(予定)

iaku

劇作家・横山拓也による大阪発の演劇ユニット。緻密な会話が螺旋階段を上がるようにじっくりと層を重ね、いつの間にか登場人物たちの葛藤に立ち会っているような感覚に陥る対話中心の劇を発表している。間口の広いエンタテインメントを意識しながら、大人の鑑賞に耐え得る作品づくり、繰り返しの上演が望まれる作品づくりを心掛け活動中。 代表作として2009年「エダニク」(第15回日本劇作家協会新人戯曲賞)、2013年「人の気も知らないで」(第1回せんだい短編戯曲賞大賞)のほか、近年の発表作に2018年「逢いにいくの、雨だけど」(第22回鶴屋南北戯曲賞ノミネート)、2019年「あつい胸さわぎ」がある。 ★公式サイトはこちら★