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【特集】舞台とあう、YouTubeで。

舞台とあう、YouTubeで。

2022.03.20


舞台芸術を映像で観る意味が変わりつつある。代替、窮余の策から、自分にあう作品を探し、届かなかった作品にであう身近な手段へ。YouTubeを利用した舞台配信プロジェクト「STAGE BEYOND BORDERS」のラインナップを対象に“鑑賞”から“体験”への一歩を踏み出す。

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字幕の内側座談会 翻訳コーディネーターたちが語る、日本の舞台を文字にすること
純粋配信舞台レビュー 映像だけを観て書かれたレビューは、作品の本質を捉えるか

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映像でであう、舞台芸術の喜びを探す

大きなきっかけは言うまでもなくパンデミックですが、それ以前から流れはありました。CO2問題から飛行機移動をやめるカンパニーの出現、脱・首都圏主義、さまざまな場所で上演の可能性を探るつくり手の増加、あるいはハンディキャップに応じた多様な観劇スタイルの提案……。舞台芸術の鑑賞が劇場の専売特許では、もうありません。

指定の場所に指定された時間に出かけ、半ば姿勢を固定され、同じ空間にいる人たちと、同じ瞬間が決してないパフォーマンスの空気に全身で浸る──。そこにある一種の強制とそこから生まれる集中、刺激、広がり、豊穣は、体験した人のほとんどが他に得難い幸福として強く身体に刻み付けているでしょう。

けれども、それはそれとして、それとは違う舞台芸術の価値や楽しさを発見し、技術を創出し、新しい思考へと意識を開いてく時代が来ています。

国際交流基金「STAGE BEYOND BORDERS」は日本を代表する作家、アーティストの作品から、これまで広く紹介される機会のなかった小規模作品までさまざまな映像をYouTube上で公開しています。EPADとの協同で50作品がセレクトされました。英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、繁体中国語、簡体中国語、日本語の7言語の字幕を付けることも出来ます。時間や距離やチケット代を気にすることなく、日本語話者でなくても、広く深い日本の舞台芸術にリーチできる。前例のない画期的な企画です。

劇場に通う日常が戻っても、作品とあう場所として、映像もまた続いていくでしょう。

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字幕の内側座談会
翻訳コーディネーターたちが語る、日本の舞台を文字にすること

50作品ほぼ同時の多国語字幕を実現した、愛と情熱とスキル

新田幸生(プロデューサー。繁体中国語を担当。チーフコーディネーターも務める)
副島綾(舞台芸術アドバイザー。フランス語を担当)
山縣美礼(声優、英語コーチ、メディアコミュニケーションアーティスト。英語を担当)
中園竜之介(スペイン語通訳・翻訳者。スペイン語を担当)
司会・構成:徳永京子

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純粋配信舞台レビュー
映像だけを観て書かれたレビューは作品の本質を捉えるか

読めば観たくなる? チョイスに迷う人のための作品ガイド

コドモ発射プロジェクト『なむはむだはむ』×丘田ミイ子(フリーライター)
北村明子『Echoes of Calling』×森菜穂美(舞踊評論家、舞踊ライター)
ケダゴロ『ビコーズカズコーズ Because Kazcause』×私道かぴ(作家、演出家)
贅沢貧乏『わかろうとはおもっているけど』×松井周(劇作家、演出家、俳優)
contact Gonzo『xapaxnannan(ザパックス・ナンナン)―私たちの未来のスポーツ』×渋革まろん(批評家)
月灯りの移動劇場『Peeping Garden / re:creation』×植村朔也(批評家)
FUKAIPRODUCE羽衣『スモールアニマル キッス キッス』×古内かほ(ライター)
維新派『トワイライト』×徳永京子(演劇ジャーナリスト)

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「STAGE BEYOND BORDERS」 とは
日本のすぐれた舞台作品の映像を、多言語字幕を付けて、国際交流基金の公式YouTubeチャンネルで無料公開するプロジェクトです。




独立行政法人国際交流基金(JF)
1972年に外務省所管の特殊法人として設立。世界の全地域において、総合的に国際文化交流を実施する日本で唯一の専門機関。大きく分けて「文化芸術交流」「日本語教育」「日本研究・知的交流」の分野での文化交流事業を実施中。世界に24か国・25の海外拠点と、国内の附属機関・支部を足がかりに、世界各国の在外公館、日本語教育機関や文化交流機関等と緊密に連携をとりながら、グローバルに活動を展開している。

SBB×演劇最強論-ing特集

国際交流基金とEPADの協力のもと、演劇最強論-ingが舞台配信プロジェクト「STAGE BEYOND BORDERS」を通して、舞台芸術と映像でであうことの可能性をテーマに、さまざまな角度から発信していきます。